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で連れてこられ、ここにしばりつけられて、さるぐつわをはめられたのです」

なるほど、そういえばその男は、まだ若い男だったが、ねまきを著たままで、スギの大木にしばりつけられ、その上に銀仮面のマントを、かぶせられていたのだった。

「いったい、きみはだれだ。あの洋館の者か?」

「そうです、使用人の|井《い》|口《ぐち》というのです」

そこでまた、井口はきゅうに恐ろしそうな聲をあげると、

「ご主人はどうしました。たしかにご主人の救いをもとめる聲が聞こえましたが……」

「ご主人というのは、加藤寶作老人のことですか?」

金田一耕助がたずねた。

「そうです、そうです」

「すると、あのうちは寶作老人のうちですね」

「そうです。近ごろ買って、引っ越してきたばかりです」

「近ごろ買って……そしてまえの持ち主はなんというひとですか?」

「知りません。わたしは知りません。ご主人はむろん知っていらっしゃるでしょうが……」

「よし、それじゃ警部さん、うちへひきかえしましょう」

「いや、それより銀仮面はどうしたのだ。おい、きみ、銀仮面はきみをしばりつけて、どっちの方面へ逃げたんだ!」

「知りません。わたしは仮面をかぶらされてしまったのですから」

「しかし、きみはあいつの顔を見たのだろう。仮面をはずしたとき……いったいどんなやつだった?」

「さあ……?」

使用人の井口は首をかしげて、

「暗くてよくわからなかったのですが、まだ若い男のようでした。三十二、三歳の……」

「よし、それじゃきみたち」

等々力警部は刑事や警官たちをふりかえり、

「銀仮面のゆくえをさがしてみろ。あいつはふつうの洋服すがたになって逃げだしたのだが、けがをしているから目印はある。それをたよりにさがしてみろ。わかったか!」

「はっ、承知しました」

刑事や警官がバラバラと、暗い夜道を散っていったあと、使用人の井口をひき連れて、もとの洋館へ帰ってみると、加藤寶作老人は醫者のかいほうで、ようやく正気にかえったところだった。

地下道の足音

「アッ、警部さん、金田一さん、あなたがたはどうしてここへ……?」

ベッドの上で、ほうたいまみれになった寶作老人は、一同の顔を見ると、びっくりしたように目を見張った。

「加藤さん」

警部は相手をいたわるような目つきで、

「とんだ災難でしたね。しかし、どうしてこんなことになったのです。銀仮面はいったい、なにをねらってここへきたんですか?」

「ああ、それじゃ、あれはやっぱり銀仮面だったのですか」

「そうです。金田一さんはあいつの影が、その窓にうつっているのを見たのです」

「そうですよ。とっさのことで、わたしにはよくわからなかったのだが……」

寶作老人は気味悪そうに身ぶるいをすると、

「わたしは今夜、早くからベッドへはいって寢たのです。いつもは支配人もうちにいるのですが、二、三日旅行しているので、いまはわたしと使用人の井口ふたりしかおりません。それで戸じまりにいっそう気をつけて、十時ごろに電燈を消して寢たのです。す

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