があった。一同がびっくりしてふりかえると、そこに立っているのは、五十歳くらいの、白髪の、美しい、上品な老紳士だった。警部は目を丸くして、
「あ、あなたは加藤寶作老人……」
加藤寶作……と、名まえを聞いて金田一耕助は、思わず相手の顔を見なおした。
ああ、それではこのひとこそ、世界的な寶石王とうたわれた寶作老人なのか。そして、きのう新宿のホテルで、銀仮面のためにまんまと六個のダイヤをぬすまれたのは、この老紳士だったのか。なるほど、そういえば、寶石王の名にふさわしい、ふくぶくしい顔をしている。
「加藤さん、あなたはどうしてこの劇場へ……」
警部があやしむようにたずねると、寶作老人は顔をしかめて、
「それについては警部さん、ちょっとみょうなことがあるんですよ。見てください。この手紙……」
寶作老人はポケットから、しわくちゃになった一通の手紙をとりだしたが、ちょうどそのころ、吉本青年の自動車は、枺�紕�訾頦幛釘筏啤ⅳ蓼盲筏挨槨俗撙盲皮い郡韋坤盲俊�
それにしても、寶作老人のとり出した手紙には、どんなことが書いてあったのだろうか。
ダイヤの少女王
等々力警部は寶作老人のさしだした、手紙をうけとると、一同に読んで聞かせた。
「新聞で拝見しますと、ご所望の大寶冠を、伽問證摔Δ肖銫欷勝工盲郡餞Δ恰ⅳ蓼長趣摔獨蕒韋嗓�舜妞袱蓼埂¥趣長恧�撙紺Δ勝い�丹膜�欏ⅳ餞未蟊�冥悉銫郡筏問證摔悉い轆蓼筏俊¥玀筏慈胗盲勝槨小ⅳ�妞氦轆筏皮玀瑜い人激い蓼埂1救瘴璣崛龝r、淺草の枺�紕�訾穩毪昕冥蓼扦�い扦�坤丹ぁ¥�銫筏い�挙稀ⅳい氦欷�郡摔��盲啤4笠敖∈iより、加藤寶作さま。……なるほど、この手紙をうけとったので、あなたはここへこられたんですね」
「そうです、そうです。それでわたしはさっきから、大野というひとをさがしているんです」
「金田一さん、あなたはこの手紙をどうお思いですか?」
警部にきかれて、金田一耕助は、ふしぎそうに小首をかしげた。
「変ですねえ。ぼくの考えはまちがっていたのかな。この手紙がほんとうだとすれば、大野老人は銀仮面の一味かも知れませんね」
「うそです。うそです、そんなことうそです」
言下にそれをうち消したのは香代子である。
「おとうさまが銀仮面の一味だなんて、そんな、そんな、そんなばかなことはありません」
香代子はくやしそうに、目に涙をうかべていた。等々力警部がそれをなだめて、
「お嬢さん、あなたはまだ子どもだから……」
「いいえ、いいえ、子どもでも、それくらいのことは知っていますわ。あの大寶冠は、もともと、あたしのうちからぬすまれたんです」
「な、な、なんですって!」
金田一耕助は顔色をかえて、
「そ、それじゃあれは、おとうさんのものだったの? おとうさんは、しかし、あんな貴重なものをどこから手にいれたの?」
「ちっとも貴重じゃありません。あんなもの、いくらでもありますわ」
「いくらでもあるって! あんな大きな、傷のない、りっぱなダイヤが!」
寶作老人もびっくりして、目を丸くしている。香代子は顔色もかえずに、
「ええ、ありますわ。おとうさんは、ここにいらっしゃる文彥さ