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い目のいろで、ただ、前方を見つめたきり、しきりに髪の毛をかきむしっている。そういうようすを見るにつけ、文彥にもしだいに事の重大さが、ハッキリとのみこめてきた。この名探偵は、なにかに気がついているらしいのだ。ハッキリしたことはわからなくとも、なにかしらぶきみな予感に胸をふるわせているのだ。

それはさておき、文彥と金田一探偵が、成城についたのは、夜の八時ごろのことだった。

幸い今夜はおぼろ月夜、成城の町を出はずれると、武蔵野の林の上に満月に近い丸い月が、おぼろにかすんでかかっている。あたりには人影一つ見あたらない。

ふたりは間もなくきょう晝間、ぶきみな老婆が手をあらっていた、あのやぶかげの小道にさしかかったが、そのときだった。金田

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